
コラム
その鼻づまり、放置していませんか?
いつも佐野クリニックのコラムをご覧いただきありがとうございます。
「風邪をひいた後、鼻水だけがずっと続いている」「鼻が詰まって仕事や勉強に集中できない」「最近、においが分かりにくい気がする」……。
このような症状に心当たりはありませんか?
「ただの鼻風邪だろう」と放置してしまいがちなこれらの症状、実は「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」という病気かもしれません。
一般的には「蓄膿症(ちくのうしょう)」という名前でも知られています。
副鼻腔炎は、放置すると慢性化し、治りにくくなるだけでなく、日常生活の質(QOL)を大きく低下させてしまう病気です。
今回は、副鼻腔炎とはどのような病気なのか、その原因や症状、当院で行っている治療法まで詳しく解説します。
1. 副鼻腔炎(蓄膿症)とはどんな病気?
私たちの顔の骨の中には、鼻の穴(鼻腔)とつながっている「副鼻腔」という4つの空洞があります。
副鼻腔は粘膜で覆われており、通常は空気で満たされています。
この副鼻腔の粘膜に細菌やウイルスが感染したり、アレルギー反応が起きたりして、炎症が起こる状態を「副鼻腔炎」と呼びます。
炎症によって粘膜が腫れ、出口が塞がってしまうと、副鼻腔の中に膿(うみ)が溜まります。これが「蓄膿症」と呼ばれる状態です。
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の違い
副鼻腔炎は、症状が続く期間によって大きく2つに分けられます。
急性副鼻腔炎: 風邪などのウイルス感染に続いて起こることが多く、発症から4週間未満のものを指します。
慢性副鼻腔炎: 炎症が3ヶ月以上続いている状態です。鼻の中に「鼻ポリープ(鼻茸)」ができることもあり、薬が効きにくくなる場合もあります。
2. あなたは大丈夫?副鼻腔炎のセルフチェック
副鼻腔炎の症状は、単なる鼻詰まりだけではありません。以下のような症状に心当たりがある場合は、早めの受診をお勧めします。
代表的な症状
鼻水の状態: ドロっとした黄色や緑色の粘り気がある鼻水が出る。
後鼻漏(こうびろう): 鼻水が喉の方に垂れてきて、痰が絡んだり、咳が出たりする。
鼻詰まり: 常に鼻が詰まっていて、口呼吸になりがち。
痛みや圧迫感: 頬、目の間、おでこなどが痛む。お辞儀をすると顔が重苦しい。
嗅覚障害: においが分かりにくい。何を食べても味が薄く感じる。
頭重感: 頭が重い、ボーッとして集中力が続かない。
口臭: 鼻の奥で嫌なニオイがする。周囲から口臭を指摘された。
特に、「上の奥歯が浮くように痛む」という症状で歯科を受診し、異常がないと言われた場合、副鼻腔の炎症が歯の根元に響いている可能性があります。
3. 副鼻腔炎の原因:なぜ「膿」が溜まるのか?
主な原因は、「感染」と「アレルギー」です。
① 風邪のウイルスや細菌
風邪をひくと鼻の粘膜が腫れ、副鼻腔と鼻腔をつなぐ小さな穴が塞がってしまいます。
すると副鼻腔内の換気が悪くなり、中で細菌が増殖して膿が溜まります。
② アレルギー性鼻炎(花粉症など)
アレルギーによって鼻の粘膜が慢性的に腫れていると、副鼻腔の出口が塞がりやすくなり、副鼻腔炎を合併することがあります。
③ 鼻の構造的な問題
鼻の真ん中の仕切り(鼻中隔)が強く曲がっている「鼻中隔湾曲症」がある方は、空気の通りが悪く、副鼻腔炎を起こしやすい傾向にあります。
4. 「ただの風邪」や「花粉症」との見分け方
患者さんからよく「風邪や花粉症とどう違うのですか?」という質問をいただきます。
風邪の場合:
👉鼻水は最初はサラサラしていますが、数日で治まることが多いです。発熱や喉の痛みが先行するのが特徴です。
花粉症の場合:
👉鼻水は透明でサラサラしており、目のかゆみを伴うことが多いです。
副鼻腔炎の場合:
👉鼻水に色(黄色や緑)がつき、ネバネバしています。また、「顔の痛み」や「においがしない」といった症状は副鼻腔炎特有のサインです。
5. 当院での診断と治療について
「副鼻腔炎かもしれない」と思って受診された場合、まずはしっかりと検査を行い、炎症の程度を確認します。
診断方法
画像診断(レントゲン・CT): どの空洞にどれくらい膿が溜まっているかを正確に把握します。
治療法
基本的には「お薬による治療」と「処置」を組み合わせて行います。
内服加療:
💊抗生剤: 細菌を殺すため、あるいは炎症を抑えるために処方します。
慢性化している場合は、少量のマクロライド系抗生剤を数ヶ月間服用する「少量長期投与法」を行うこともあります。
💊膜調整薬・去痰薬: 鼻水の粘り気を抑え、膿を出しやすくします。
ネブライザー治療: 薬剤を細かい霧状にして鼻から吸入し、直接副鼻腔に届けます。
鼻洗浄(鼻うがい): 鼻の中の膿やアレルギー物質を物理的に洗い流します。
6. 日常生活で気をつけること
治療と並行して、ご自宅でも以下のことを意識すると回復が早まります。
鼻をこまめに、正しくかむ: 強くかみすぎると耳に負担がかかり、中耳炎の原因になります。「片方ずつ、ゆっくり、優しく」が基本です。
加湿を心がける: 空気が乾燥すると鼻の自浄作用が低下します。加湿器などで湿度を50〜60%に保ちましょう。
水分をしっかり摂る: 体内の水分が不足すると鼻水が固くなり、排出されにくくなります。
鼻うがいを取り入れる: 市販の鼻洗浄キットなどを使用し、鼻の中を清潔に保つのも効果的です(やり方は当院でも指導いたします)。
7. 放置すると怖い?副鼻腔炎のリスク
「たかが鼻詰まり」と侮ってはいけません。副鼻腔炎を放置すると、以下のようなリスクがあります。
慢性的な頭痛・集中力の低下: 常に頭が重く、仕事や勉強のパフォーマンスが著しく低下します。
嗅覚障害の固定化: 長期間においを感じない状態が続くと、神経がダメージを受け、治療をしてもにおいが戻りにくくなることがあります。
中耳炎の合併: 鼻の細菌が耳管を通って耳に入り、中耳炎を繰り返す原因になります。
気管支炎や喘息の悪化: 後鼻漏が原因で、呼吸器疾患を悪化させることがあります。
まとめ:早めの受診がスッキリへの近道です
副鼻腔炎は、適切な治療を行えば必ず改善する病気です。
しかし、自己判断で市販薬を使い続けたり放置したりすると、治療に時間がかかるようになってしまいます。
「最近、鼻の調子がおかしいな」と感じたら、まずは一度ご相談ください。
鼻の通りが良くなるだけで、睡眠の質が上がり、食事も美味しくなり、毎日の生活が驚くほど快適になります。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた丁寧な診察を心がけています。
気になる症状があれば、どうぞお気軽にご来院ください。


